暗号資産データ分析企業 Token Terminal は9日、直近30日で最も急成長しているトークン化資産ランキングを発表し、テザー社の金担保トークン「Tether Gold（XAUT）」が首位となった。

XAUTの時価総額は1カ月で39％増加し約20億ドル（約3,080億円）に達した。テザー社のパオロ・アルドイノCEOは「XAUTは新たなゴールド標準だ」とコメントしている。

XAUTの人気を後押ししているのは、金価格の年初来54％上昇。国家債務や通貨価値の低下に対する懸念から、投資家が“現物資産の裏付け”を求める動きが広がっている。XAUTは100％物理的な金地金に裏付けられたトークンで、スイスのLBMA基準の保管庫に実際の金が保管されている。

さらに注目されるのは、XAUTを企業財務に取り入れる動きだ。

米ナスダック上場企業 Antalpha Platform Holding Company は10月、XAUTを財務準備資産とする子会社 Aurelion Treasury（オーレリオン・トレジャリー） を設立し、約1億3,400万ドル（約206億円）分のXAUTを購入。

XAUTを唯一の財務準備金として保有することで、価格安定性・流動性・耐性向上を図るとともに、XAUT担保のローン提供も開始している。

今回のランキングでは、2位に米ドル建てステーブルコインUSDS、3位にトークン化証券JAAA、4位にペイパルのPYUSD、5位にUSD1が続く。

業界全体では、RWA（現実資産トークン化） の拡大が加速しており、リップル社は「RWA市場は2033年までに18.9兆ドル（約2,900兆円）規模に達する」と予測している。

テザーのXAUTは、“デジタルの中のリアル資産”という信頼の象徴として、新しいトークン経済の基軸となりつつある。